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第82回日本感染症学会総会・学術講演会の開催にあたって

第82回日本感染症学会総会
会長 冨 岡 治 明
(島根大学医学部微生物免疫学教室)



 この度,私こと第82回日本感染症学会総会会長を仰せつかりまして,平成20年4月17日(木),18日(金)に松江市の島根県民会館とサンラポーむらくもで開催します学会総会を担当させて頂く運びとなりました。伝統ある日本感染症学会の総会と言うことで大変光栄に存じております。学会の方は,2日間の会期中に2題の特別講演,2題の招請講演,20題の教育講演,会長講演,緊急討論,9テーマのシンポジウム,10題のミニ特別講演,14テーマのワークショップ,18題の教育セミナー,一般講演,ICD講習会および市民講座などを行う予定でおります。
 ポストゲノム時代を迎え,ライフサイエンス研究がバイオインフォーマティクスに集約されつつある現在,感染症学の領域においても,こうした時代的背景とその要請を踏まえ,ゲノミクス・プロテオミクスをベースとした新しい研究の潮流が生まれつつあるように思います。現在,生命現象を総合的に理解する目的で,遺伝子機能の多くを担っているタンパク質分子の総体としてのプロテオームについての研究が,網羅的プロテオーム解析やフォーカストプロテオーム解析をベースにして精力的に進められており,多様なタンパク質の動態・翻訳後修飾・相互作用のプロフィールが解明されつつありますが,感染症学領域でも,臨床と基礎との協力によるこのような先端的バイオ研究への展開が大いに期待されるところです。そこで,本学会講演会のテーマとしましては,「ポストゲノム時代の感染症学 -臨床と基礎とを結ぶ新領域への期待」と言うことにさせて頂き,感染症関連のゲノム情報をベースにした話題を多く盛り込まさせて頂きました。
 また今年の暖冬傾向からも分かりますように,近年地球温暖化の傾向がますます明確なものになって来ており,こうした地球温暖化により人間社会には様々な深刻な問題を齎されることが懸念されますが,私達感染症を専門とする者達にとっては,地球温暖化に伴って引き起こされるであろう感染症の様相の大きな変貌,さらには自然界への必要以上の介入によって招来された新興感染症という問題が大きくクローズアップされて来ています。感染症学領域ではこうした問題に向けての将来を見据えた対応が希求されています。このような時代的な背景を視野に入れ,本学会講演会では,時代の要請に応えられるような感染症学の教育体制の充実と感染症専門医の育成に向けた取り組み,感染症治療の現状と将来展望,人獣共通感染症を中心にした新興・再興感染症の問題などを重点的に取り上げることに致しましたが,こうしたテーマについて,広く深く論じて頂くための機会となりますれば幸いです。
 なお,本学会が開かれます松江市は宍道湖に面した山陰の小京都とも称される景観の良い町で,宍道湖の松江側から見える夕日は美しく確かに一見の価値があります。さらに学会場のすぐ近くには,松江城や武家屋敷や小泉八雲の旧居などの観光名所が,また松江からは小1時間かかりますが,出雲市大社町には島根県立古代出雲歴史博物館がこの3月よりオープンしており,斐川町荒神谷遺跡や雲南市加茂岩倉遺跡から出土した358本の銅剣や45個の銅鐸などの国宝・重要文化財が一括して常設展示されています。
 本学会講演会は,10会場を設けて2日間に亘って開催されますが,有意義な実りある学会となりますよう,会員の皆様方の多数のご参加と活発な討論をお願い致したく,松江へのお越しを心よりお待ち申し上げております。今後の準備に当りましては,皆様方にはいろいろとご指導・ご援助を頂くことが多かろうかと存じますが,宜しくお願い申し上げます。